空に吹く、風の音を教えて。
弥代くんは手慣れた様子で機材を準備し、ギターをチューニングした。

ものの数分で準備は終わり、曲が始まった。


パチパチパチパチ…。

曲が止んだ瞬間、私は思わず拍手してしまった。


「うまい…すごい。ほんと、すごい。あぁ、ごめん。音楽疎くてそれしか言えないけど、すごいってことは分かるんだ。迫力ある歌い方素敵だし、ギターカッコいいし」

「でも、浅羽も出来るじゃん、ギター。あの人、涼しい顔して結構ギミック効かせてたから。あれはバケモノ。敵わないって思った」


確かにそうだけど。

素人が何言ってるんだって思われるかもしれないけど、私は口にした。


「それぞれ違う魅力があって、私はどっちも良いと思うよ」

「どっちも良い、ねぇ。いっちばん傷つくやつ。保泉さんさ、無自覚に男の神経擦り減らしてるから。そこだけちょっと自覚してもらってもいい?」

「あっ、はい。すみません…」


私がペコリと頭を下げると、


「っ、あはは!」


弥代くんはさっきまでの鬱々としていた人とは思えないくらい大きい声で笑い出した。


「私、なんかした?」

「いや、なんにも。なんか、ほんと…鈍いってのはこっちとしては困るけど、本人にとっては良いことなのかもね。はは…。告白されたのにあっけらかんとしてるし、ほんとオレはアウトオブ眼中なのね。あー、はい。分かりました」

「え、いやいや、そんなことはなくて…。ん?いや、でも。でも?」


自分でも何を言っているのか分からなくなり、遂には吹き出した。

2人共お腹を抱えて聖夜には似つかわしくないくらいおっきな声で笑った。


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