空に吹く、風の音を教えて。
ひとしきり笑い、ようやく私たちは外に出た。


「ひぇっ、さむっ…」

「てか、雪」

「え?あ、ほんとだ」

「ホワイトクリスマスになったな」

「うん。雪降って地固まる、かな?」

「今、うまいこと言った私ーって思ってる?」

「…思った、少しだけ」

「ま、悪くないんじゃない。保泉さんのダジャレも、この関係も」


弥代くんが私の前に青いマフラーを差し出した。


「寒いんでしょ?家着くまでおとなしくそれ着けてな」

「ふふ。ありがとう。ありがたく使わせてもらいます」

「じゃ、後は寒くならないようにあったかくなるようなお話をお願いしまーす」

「いや、そんなの期待されても私には…」


無理と言いかけると睨まれた。

だから相変わらず怖いんだって。


「善処します」


私がそう言うとふっと鼻で笑って。

そういうのが弥代くんらしい。

良かった。

少しだけ、元の私のよく知ってる弥代くんに戻って来た。

…神様、どうか。

今夜はこのまま。

これ以上私たちを苦しめないで。

淡い白雪をただ美しいと思わせて。


私と弥代くんは時に蛇行しながら寒空の下を歩いた。

寒さなんて忘れるくらい、その時間は尊く、温かかった。
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