空に吹く、風の音を教えて。
決心してからの私はその気持ちが隠れないように勉強以外の時間は常にブーケクレープに意識を向けた。

悠花さんに教わってトッピングの配置を考えたり、なるべく崩さないで運搬出来るように容器を選定したりなどやるべきことは山ほどあった。

こんなに本気でバレンタインチョコを作るのなんて人生初だ。

そもそもひとつのことに集中して熱を注ぐなんてこともなかった。

私がこれだけ前向きに行動出来てるのは私と出会って私と向き合ってくれた人たちがいるから。

私はその人たちに感謝して当日その想い丸ごと伝えたい。

なんて目まぐるしい日々を送っていると時の流れは恐ろしく早い。

寝て起きて勉強してバイトして試作して寝て…を繰り返していたら当日を迎えてしまった。

学校に着くとやはりいつもと様子が違っていた。

昇降口で待ち伏せしてる女子がいたり、下駄箱に入れようとしてるのか目当ての人の場所を探している素振りを見せている人もいた。

教室も動揺にざわついている。

優しい女子からの友チョコで半泣きの男子がいたり、本命を待っているのかそわそわしてる男子もいる。


「風ちん、おっはー!」

「おはよ」

「いよいよ決戦の時だね。やしろんにはいつ言うの?」

「お昼休みしかないかなって。ほら、放課後は…」

「だね。じゃあとりあえず第一関門突破出来るよう祈っておくね」

「うん、よろしくお願いします」


待たせた分、

心配させた分、

想ってくれた分、

私も誠実に向き合う。

今日こそは逃げない。

伝える。

私は太ももをパンと叩いて気合いを入れると、スマホを取り出し、メッセージを送った。


今日のお昼休みお話があります。

屋上で待ってます。


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