空に吹く、風の音を教えて。
「まさか2度も振られるとはね。オレの人生史上最大の汚点だよ」
「謝ったら自分の決断に自信がないみたいに思われちゃうから、今日は絶対謝らないよ」
私の言葉に弥代くんはふっと笑った。
「少しは強くなったんじゃない?」
「うん。それは弥代くんのお陰なんだよ。前にも言ったかもしれないけど、私と同じ目線で私に寄り添って考えてアドバイスしてくれたから私の前に道ができたんだ。だから、今日はそのお礼に…」
私は後ろ手で隠していたプレゼントを弥代くんの前に差し出した。
「今までありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。感謝のチョコだから受けとってください」
弥代くんはやれやれとでも言いたげな顔でこちらを見る。
「わかった。ありがたくもらっとく」
「はい、どうぞ」
私が手渡すと弥代くんは踵を返した。
「寒いから帰る」
「あ、うん」
弥代くんはそう言い残すと足早に屋上を後にした。
悲しげな背中が脳裏にこびりついて離れない。
けど、自分の決断に責任を持つならこんな気持ちになってはいけない。
そう、思うけど…。
やっぱりちょっと胸が苦しい。
振られた人のほうが絶対苦しいはずなのになぜか私まで泣けてきてしまって、必死に手で涙を拭う。
午後からも授業は続くのに、
一番大事なことはまだ残ってるのに。
それでも、
頭ではそうわかっていても、
涙がとめどなく溢れてきて止まらない。
私はしゃがみこんだ。
胸元を抑え、必死に呼吸を落ち着かせようとする。
ビュービューという風の音とどこからともなく謎の奇声が聞こえてくる。
「風ちん…!」
背後から声がして私は慌てて顔を上げた。
「光莉ちゃん…」
「もお、せっかくメイクしてきたのに台無しじゃん。ま、すっぴんでも風ちんは可愛いから大丈夫だと思うけど。あんま本命以外の男のことで泣かないほうがいいよ。心配も嫉妬もされて面倒なことになっちゃうから。まあでも、風ちん優しいから泣いちゃうのも仕方ないけどね」
光莉ちゃんは私の背中を優しくなでながら諭してくれる。
「あ、そうだ。これ、お返しだってさ」
「ココア…」
「ハッピーバレンタインって言ってたよ。ほら、寒いからこれで暖とって落ち着いたらトイレへゴー!メイク直してあげるから」
「ありがと、光莉ちゃん…」
私、幸せ者だ。
こんなにもみんなに気遣ってもらえて。
有り余るくらいの幸せが降り注がれてる。
今まで目を背けてきただけで、受け取れるものいっぱいあったんだ。
私、これからはちゃんと受け取っていくよ。
みんなからの言葉も優しさも
たまのいやな感情も
自分の内側から湧いてくるカラフルな感情も
全部感じて、
前を向いて、
自分らしく歩いていく。
そして、その隣を一緒に並んで歩いてほしい人がいる。
その人にちゃんと自分の気持ちを伝えたい。
ここで泣いてたらだめだ。
しっかりしろ、私…!
私は一口だけココアを口に含んだ。
芳醇なカカオの香りとほのかな甘さが口のなかに広がって、身体がじんわりと温かくなってくる。
弥代くんからもらったいろんなものを糧にして
私、頑張ってくるね。
「光莉ちゃん、もう、大丈夫」
「うん。ウチの目にもそう見える。よしっ!じゃあ、最後の仕上げ行っちゃいますか」
「うん」
涙を拭い、私は屋上を後にしたのだった。
「謝ったら自分の決断に自信がないみたいに思われちゃうから、今日は絶対謝らないよ」
私の言葉に弥代くんはふっと笑った。
「少しは強くなったんじゃない?」
「うん。それは弥代くんのお陰なんだよ。前にも言ったかもしれないけど、私と同じ目線で私に寄り添って考えてアドバイスしてくれたから私の前に道ができたんだ。だから、今日はそのお礼に…」
私は後ろ手で隠していたプレゼントを弥代くんの前に差し出した。
「今までありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。感謝のチョコだから受けとってください」
弥代くんはやれやれとでも言いたげな顔でこちらを見る。
「わかった。ありがたくもらっとく」
「はい、どうぞ」
私が手渡すと弥代くんは踵を返した。
「寒いから帰る」
「あ、うん」
弥代くんはそう言い残すと足早に屋上を後にした。
悲しげな背中が脳裏にこびりついて離れない。
けど、自分の決断に責任を持つならこんな気持ちになってはいけない。
そう、思うけど…。
やっぱりちょっと胸が苦しい。
振られた人のほうが絶対苦しいはずなのになぜか私まで泣けてきてしまって、必死に手で涙を拭う。
午後からも授業は続くのに、
一番大事なことはまだ残ってるのに。
それでも、
頭ではそうわかっていても、
涙がとめどなく溢れてきて止まらない。
私はしゃがみこんだ。
胸元を抑え、必死に呼吸を落ち着かせようとする。
ビュービューという風の音とどこからともなく謎の奇声が聞こえてくる。
「風ちん…!」
背後から声がして私は慌てて顔を上げた。
「光莉ちゃん…」
「もお、せっかくメイクしてきたのに台無しじゃん。ま、すっぴんでも風ちんは可愛いから大丈夫だと思うけど。あんま本命以外の男のことで泣かないほうがいいよ。心配も嫉妬もされて面倒なことになっちゃうから。まあでも、風ちん優しいから泣いちゃうのも仕方ないけどね」
光莉ちゃんは私の背中を優しくなでながら諭してくれる。
「あ、そうだ。これ、お返しだってさ」
「ココア…」
「ハッピーバレンタインって言ってたよ。ほら、寒いからこれで暖とって落ち着いたらトイレへゴー!メイク直してあげるから」
「ありがと、光莉ちゃん…」
私、幸せ者だ。
こんなにもみんなに気遣ってもらえて。
有り余るくらいの幸せが降り注がれてる。
今まで目を背けてきただけで、受け取れるものいっぱいあったんだ。
私、これからはちゃんと受け取っていくよ。
みんなからの言葉も優しさも
たまのいやな感情も
自分の内側から湧いてくるカラフルな感情も
全部感じて、
前を向いて、
自分らしく歩いていく。
そして、その隣を一緒に並んで歩いてほしい人がいる。
その人にちゃんと自分の気持ちを伝えたい。
ここで泣いてたらだめだ。
しっかりしろ、私…!
私は一口だけココアを口に含んだ。
芳醇なカカオの香りとほのかな甘さが口のなかに広がって、身体がじんわりと温かくなってくる。
弥代くんからもらったいろんなものを糧にして
私、頑張ってくるね。
「光莉ちゃん、もう、大丈夫」
「うん。ウチの目にもそう見える。よしっ!じゃあ、最後の仕上げ行っちゃいますか」
「うん」
涙を拭い、私は屋上を後にしたのだった。