うちら4人幼馴染、2人の両片思いたちが不器用すぎる!

ついに、ついに!!

ベランダの冷たい空気が、火照った私の頬を冷やす。
隣のベランダとの仕切り板のすぐ向こうに、空くんが立っていた。
距離はわずか数十センチ。なのに、半年以上もこの距離が宇宙よりも遠く感じられていた。
「空くん……」
「……俺、本当に大バカだった」
空くんは手すりをギュッと握りしめ、俯いたまま震える声で話し出した。
「お前が春馬と付き合ってるって勘違いして、勝手に拗ねて、ひどいことばっかり言って……。傷つけたくなかったのに、いっつも余計なことばっかりして、一番お前を傷つけたのは俺だ」
空くんの目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。いつも強がりでツンツンしていた空くんが、私の前で初めて泣いていた。
「俺、京都に行く。お前は東京に行く。離れ離れになるの、めちゃくちゃ怖い。……でも、もう嘘つくのは絶対に嫌だ」
空くんが顔を上げ、涙で濡れた瞳でまっすぐに私を見つめた。
「俺、生まれた時からずっと、お前が好きだった。幼馴染としてじゃねぇ。世界で一番、永川真奈が好きだ。……だから、俺となんか付き合うわけないなんて、二度と言うな」
心臓が、あの夏の日の花火みたいに激しく跳ねた。
「お前となんか付き合うわけねーじゃん」って言われたあの朝、本当は空くんも緊張して、嫌われるのが怖くて嘘をついていたんだ。
「私も……!」
私も手すりにしがみつき、涙を流しながら大声で叫んだ。
「私もずっと、空くんが大好きだった! 瑠香ちゃんのことが好きだって勘違いして、勝手に諦めようとしてごめんなさい! 他の誰でもない、空くんがいいの……っ!」
仕切り板の隙間から、空くんの大きな手が伸びてきて、私の手をぎゅっと握りしめた。
あの夏の海の日も、秋の映画館でも、冬の雪の日も、いつも私を救ってくれた、あったかくて力強い手。
「真奈。京都と東京で遠距離だけど……俺、絶対に浮気なんかしないし、毎日連絡する。だから、俺の彼女になってくれ」
「うん……っ! よろしくお願いします!」
生まれた時からずっと隣にいたのに、高校3年生の最後の最後、卒業式の前夜に、私たちはようやく恋人同士になった。
外の様子をうかがっていたのか、下の階のベランダから「うおおおおお!! やったーーー!!!」と春馬くんのバカでかい叫び声が響き、続いて「ちょっと春馬うるさい! でも真奈、おめでとうーーー!」と瑠香ちゃんの泣き声混じりの声が聞こえてきた。
私たちは顔を見合わせて、久しぶりに心の底から笑い合った。

それから数年後……。
「真奈、今日も世界で一番可愛いよ。お願いだから、僕以外の男をそんな優しい目で見ないで」
「ちょっとパパ、離れてよ! ママは僕のなんだから!」
あれから数年が経ち、遠距離恋愛を乗り越えて結婚した私たちは、苗字が「西園寺」になって、賑やかな毎日を送っている。
そして私たちの元に生まれてきてくれた可愛い息子は「海斗(かいと)」。
あの頃、自分の気持ちを認められずに遠回りした私だけど。
実の息子にまで嫉妬しちゃう重度な旦那と、ママが大好きすぎる愛され息子に挟まれて、毎日嬉しい悲鳴を上げている。
旦那と息子の間で常に揺れている私だけど、今の私は、胸を張って大声で言える。
空くんを好きになって、よかったって。
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