【キミの声をきかせて】~声を失った少女は、四人の王子に溺愛される~

抱き締められて返事をかけない私は心の中で呟きながら響也くんを優しく抱きしめ返すと大丈夫だよって気持ちを込めて背中を撫でる。


こんなに悲しそうに切なそうに謝る響也くんのことを許さないわけないよ…。
私のことをそれだけ余裕無くなるぐらい必死に探してくれてたんだよね…?
もう怒ってないよ…。
こんな私をずっと探してくれててありがとう。


その時だった。


「おい響也! 何どさくさに紛れて澪に抱きついてんだてめぇ!離れろっ」


ソファでスマホをいじっていた春琉くんがズカズカと背後から近づいてくると響也くんの肩を掴んで引き剥がした。


「……チッ、うるせぇな春琉!今いいとこなんだよ!邪魔すんな」


「あぁ!? いいとこもクソもあるか! そこをどけ!!」


バチバチと火花を散らして睨み合う二人の間で、私はただただあたふたと立ち尽くすことしかできなかった。
< 116 / 307 >

この作品をシェア

pagetop