終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
早めに晩ご飯を済ませ、あたしはいそいそと部屋から運び出す。
そして、歴代のツアーグッズを綾人の前に広げた。 
 
「ねぇ、綾人はどれにする?」
「どれでもいい」
「じゃ、去年の夏コンのやつね」

あたしは動作確認をしたのち、綾人にペンライトを渡す。
 
「ちなみにライトの色は黄色ね」
「?」
「いち様のメンカラが黄色だから」
「はぁ」   

あたしは綾人のペンライトの色も固定したところで、次のグッズを渡す。 
 
「タオル」
 
ぽん。
 
「うちわ」
 
ぽん。
 
「ツアーTシャツ」
 
ぽん。

「これ着るのか」
「サイズはフリーだから大丈夫っ」
「ちげぇよ」
「あとは……」
「……まだあるのか」

あたしは綾人の首にかける。 
 
「双眼鏡!」
「家で使うのかよ」
「雰囲気が大事なの」
「お前の本気度を見誤ってた……」 
         
あたしは綾人の手を掴んで、高く掲げた。
コール&レスポンスもバッチリ教えてある。 
  
「さぁさぁ!ファイブスター、ラストツアーファイナル始まるわよ~!」   
「おー……」

かくして、ファイブスター【ラストツアーファイナル】DVD上映会in藤垣家の幕が上がったのだった。
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