終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
朝食もそこそこに車へ押し込まれた。
どこへ向かうのか聞いても、綾人は教えてくれない。
気づけば美容院の鏡の前だった。
その後、何が何だかわからないまま、ドレスに着替えさせられ、メイクとヘアセットを施されていく。
「って、なんで、あのドレス着て、ヘアセットまでされてんの?!」
そして完成するや否や、また綾人の車に放り込まれて、どこぞへと連れ出されている。
運転している綾人も、スーツだけど着飾っていた。
「似合ってんじゃん」
「……ありがと」
一瞬だけ素直に礼を言ってしまう。
でもすぐにはっと気付く。
「……じゃなくて!」
「ほら、着いたぞ」
「えっ……ここって……」
(昨日言ってたワタセホテル?)
綾人が停車させたのは、豪華絢爛という言葉が似合う正面入り口。
気づいたドアボーイが、恭しくお辞儀をする。
「お待ちしておりました、藤垣様。お車はこちらで」
「あぁ」
しれっと車のキーを預ける綾人。
(ちょっと待って……"働いてる"んじゃなくて、"迎えられてる"んだけど?)
混乱しているあたしを尻目に、綾人は腕を差し出す。
「行くぞ」
「待って待って……どういうこと?」
「説明するより、見たほうが早い」
「綾人っ!」
「俺のそばを離れんな」
そう言った横顔は、ただの飲み友達で、
ただの強引な同居人じゃなくて。
まるで知らない世界に立っている
――藤垣綾人だった。
どこへ向かうのか聞いても、綾人は教えてくれない。
気づけば美容院の鏡の前だった。
その後、何が何だかわからないまま、ドレスに着替えさせられ、メイクとヘアセットを施されていく。
「って、なんで、あのドレス着て、ヘアセットまでされてんの?!」
そして完成するや否や、また綾人の車に放り込まれて、どこぞへと連れ出されている。
運転している綾人も、スーツだけど着飾っていた。
「似合ってんじゃん」
「……ありがと」
一瞬だけ素直に礼を言ってしまう。
でもすぐにはっと気付く。
「……じゃなくて!」
「ほら、着いたぞ」
「えっ……ここって……」
(昨日言ってたワタセホテル?)
綾人が停車させたのは、豪華絢爛という言葉が似合う正面入り口。
気づいたドアボーイが、恭しくお辞儀をする。
「お待ちしておりました、藤垣様。お車はこちらで」
「あぁ」
しれっと車のキーを預ける綾人。
(ちょっと待って……"働いてる"んじゃなくて、"迎えられてる"んだけど?)
混乱しているあたしを尻目に、綾人は腕を差し出す。
「行くぞ」
「待って待って……どういうこと?」
「説明するより、見たほうが早い」
「綾人っ!」
「俺のそばを離れんな」
そう言った横顔は、ただの飲み友達で、
ただの強引な同居人じゃなくて。
まるで知らない世界に立っている
――藤垣綾人だった。