終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
第10話 ふたり暮らしをはじめよう
「はぁ……もう今日無理……」
深い息と一緒に枕に顔を埋める。
湯上がりのほっこりした温もりに、瞼も重たい。
そこへ体が沈む感覚と、見知った体温が潜り込んできた。
「寝たのか」
「んー……もうだめ、眠たい……」
「そうか」と短く返事した綾人は、眼鏡越しにじっとあたしを見てくる。
「どうしたの?」
「名実ともに婚約者だな。おめでとう」
「フリだって言ってんでしょ」
「じゃあ指輪買いに行くか」
「だからっ!フリだってば!しかも指輪はまだ早いっ!」
「へぇ」
綾人が頬杖つきながら、にやにやした顔で視線を外さない。
眼鏡でその仕草は、心臓にくるから本当にやめてほしい。
「……何よ」
「早くなきゃいいんだな」
「そういう意味じゃないっ!!もう寝るからっ!おやすみっ!」
ふとんを目一杯かぶって、この不毛なやりとりを終了させた。
綾人の大きな手が、頭をぽんぽんと軽く叩く。
触れられた手から伝わる体温。
そしてリズム音に、あたしは本当に眠りに落ちていく。
「ありがとな、志穂」
いつもより優しく響く綾人の言葉を、確かに聞いたような気がした。
深い息と一緒に枕に顔を埋める。
湯上がりのほっこりした温もりに、瞼も重たい。
そこへ体が沈む感覚と、見知った体温が潜り込んできた。
「寝たのか」
「んー……もうだめ、眠たい……」
「そうか」と短く返事した綾人は、眼鏡越しにじっとあたしを見てくる。
「どうしたの?」
「名実ともに婚約者だな。おめでとう」
「フリだって言ってんでしょ」
「じゃあ指輪買いに行くか」
「だからっ!フリだってば!しかも指輪はまだ早いっ!」
「へぇ」
綾人が頬杖つきながら、にやにやした顔で視線を外さない。
眼鏡でその仕草は、心臓にくるから本当にやめてほしい。
「……何よ」
「早くなきゃいいんだな」
「そういう意味じゃないっ!!もう寝るからっ!おやすみっ!」
ふとんを目一杯かぶって、この不毛なやりとりを終了させた。
綾人の大きな手が、頭をぽんぽんと軽く叩く。
触れられた手から伝わる体温。
そしてリズム音に、あたしは本当に眠りに落ちていく。
「ありがとな、志穂」
いつもより優しく響く綾人の言葉を、確かに聞いたような気がした。