終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
この前とは違う装いで、エントランスを歩いていく。
行き交うお客様もスタッフも、身なりが整った人たちばかりで、気後れしそうになる。
それでも、縮こまらないよう背筋を伸ばしてロビーラウンジに向かった。
滝が流れる日本庭園を望む開放的なロビーラウンジ。
九条さんが手を挙げ、あたしを呼ぶ。
隣に立っているスーツ姿の男性が名刺を出した。
「初めまして。私、ワタセホテル新規事業部の大垣と申します。本日はよろしくお願いいたします」
「頂戴いたします。私、株式会社ブルームリンクの藤原と申します」
受け取った名刺をまじまじ見つめる。
(綾人じゃないけど……ワタセホテルの社員?)
すると双方の顔見知りである九条さんが説明する。
「今回お呼びしたのは、ブルームリンクさまに冬の企画をご提案いただきたかったからです」
配られた資料に目を通す。
そこにはワタセホテル新規事業【日本の四季と文化を体験する宿泊プラン】とあり、年間通しての草案が記載されている。
(そういえば……綾人も確か新規事業がどうとか……)
記憶を探っていると、九条さんが話を進めていく。
「藤原さんなら、どう売りますか?」
「え?」
「主なターゲット層は海外のお客様向けです」
九条さんは別資料を取り出し、ホテルの年間利用者層の数字と内容を見せる。
そして、あの芯の強い笑みを浮かべながら、自信に満ちた声で話す。
「ラグジュアリーだけでは差別化としては弱い。そこで、体験型に目をつけ、四季折々で私たち日本人が当たり前に、でも、大切にしている文化を知ってもらいたい」
「なるほど……」
「私どもワタセホテルにしかできない体験を提供したいと考え、こちらの九条さまに共同企画としてお願いいたしました」
大垣さんの話を聞きながら、ふと綾人を思い出す。
新規事業がどうとか言っていたけれど、もしかして関係あるのだろうか。
行き交うお客様もスタッフも、身なりが整った人たちばかりで、気後れしそうになる。
それでも、縮こまらないよう背筋を伸ばしてロビーラウンジに向かった。
滝が流れる日本庭園を望む開放的なロビーラウンジ。
九条さんが手を挙げ、あたしを呼ぶ。
隣に立っているスーツ姿の男性が名刺を出した。
「初めまして。私、ワタセホテル新規事業部の大垣と申します。本日はよろしくお願いいたします」
「頂戴いたします。私、株式会社ブルームリンクの藤原と申します」
受け取った名刺をまじまじ見つめる。
(綾人じゃないけど……ワタセホテルの社員?)
すると双方の顔見知りである九条さんが説明する。
「今回お呼びしたのは、ブルームリンクさまに冬の企画をご提案いただきたかったからです」
配られた資料に目を通す。
そこにはワタセホテル新規事業【日本の四季と文化を体験する宿泊プラン】とあり、年間通しての草案が記載されている。
(そういえば……綾人も確か新規事業がどうとか……)
記憶を探っていると、九条さんが話を進めていく。
「藤原さんなら、どう売りますか?」
「え?」
「主なターゲット層は海外のお客様向けです」
九条さんは別資料を取り出し、ホテルの年間利用者層の数字と内容を見せる。
そして、あの芯の強い笑みを浮かべながら、自信に満ちた声で話す。
「ラグジュアリーだけでは差別化としては弱い。そこで、体験型に目をつけ、四季折々で私たち日本人が当たり前に、でも、大切にしている文化を知ってもらいたい」
「なるほど……」
「私どもワタセホテルにしかできない体験を提供したいと考え、こちらの九条さまに共同企画としてお願いいたしました」
大垣さんの話を聞きながら、ふと綾人を思い出す。
新規事業がどうとか言っていたけれど、もしかして関係あるのだろうか。