終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
(わかる……九条さんの仕事の凄さ)

インテックス大阪で、ありありと見せつけられた自分との差。
だからこそ、なぜあたしがこの場でこの企画に参加しているのかわからない。

すると、そんな考えを見透かしていたような九条さん。      
 
「私は数字は見られます」
「ですが、お客様目線の企画は藤原さんの方が優れていると思っています」
「……どうしてですか?」
「あのインテックス大阪で拝見した資料もですが、他ブースでのあなたの気配りや心配りは素晴らしかった」
「……」
「私は今回、この企画は途中参加です。ならばあなたとも仕事してみたいと思い、藤原さまに依頼しました。あなたにしか出来ない強みが、斬新なアイデアを生み出すのです」
「九条さん……」

正直、まだ不安なところはある。
でも、それ以上に、挑戦してみたい面白そうな企画だと思った。
もう、迷いはない。

「わかりました。どうぞよろしくお願いいたしますっ」
「ふふっ。良かった。では早速ですが、この冬から始まります。概要は——」

それぞれにアイデアや情報を出し合う。
簡単にまとめて、次回には一本に絞り進めていく方向で決まった。
打ち合わせ日時も決まり、それぞれに最後の握手をしたとき、大垣さんがさらりと言った。 
     
「藤垣統括責任者にも共有しておきます」
「統括責任者?」
「今回の事業責任者です。今日は生憎別件で——」

(聞き間違いかな?……うんうん、そうよね)

一人、心の中で自問自答していると、九条さんもさらりという。  

「ご存じかと思いますが、藤垣綾人さんですよ」
「え……?」     
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