終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
「なんで……そんなに体力あるの?」
「鍛えてるから。一緒にジム行くか」
「……遠慮します」

綾人曰く、まだ本気出していないらしい。
今も腰が砕けて力が入らないのを訴えるように、睨むもニヤニヤしてるだけ。
動けないあたしの代わりに、綾人がさくっとお昼ごはんを作ってくれた。
そして食後には—— 
 
「ミルクティー淹れるから待ってろ」    

いつも思うけど、コーヒー派のくせにちゃんと淹れてくれる。
お鍋のお湯に茶葉入れて、そして牛乳も入れていく。
ティーバッグで済ます日はほとんどない。

「器用というか、凝り性というか」
「当たり前だろ、お前に淹れるからな」
「どういうこと?」
「手抜きしたくねぇだけ」

カップに移してくれる。
今日はホットにしてもらった。
牛乳とお砂糖の加減が、絶妙すぎてすっかり喫茶・綾人の虜だ。

「おいし~っ……!他のミルクティーじゃ物足りなくなった……綾人のせいで」
「俺のせいかよ。ま、ロイヤルミルクティーはミルクティーより濃いからな」
「え……うそ……」

綾人曰く、よりミルクたっぷりかつ丁寧に蒸らしたロイヤルミルクティーを、いつも淹れてくれてたそうで。

(……自分で言うのもなんだけど、綾人は甘やかしてくれてたのね……)

ミルクティーの甘さは、綾人そのものと知った朝だった。
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