終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
「食材でも買っとくか」
「たしかに……」
見ると、中身が寂しい冷蔵庫。
綾人がエコバッグと財布を用意した。
「え?……ウソでしょ」
「何が?」
「エコバッグ持ってんの?!」
「常識だろ」
「いや……そうなんだけど……」
そういえば、今まで食材だけを買いに、一緒に行ったことがなかった。
エコバッグを持つ綾人を想像してみる。
………………悪くない。
「……っ!これだからっ、イケメンはっ!」
「は?」
「何でも様になるんだものっ!」
「意味わからん。行くぞ」
綾人に手を引かれ、近所のスーパーに行った。
カゴには卵、牛乳、豚肉、野菜。
「あ、それ特売」
「主婦か」
「営業部です」
「変わんねぇ」
二人で笑う。
エコバッグを持とうとすると、「いい」と綾人が全部持ってしまう。
「私も持てるよ?」
「彼氏の仕事取んな」
「ふふっ」
「笑うな」
「だって、付き合ったばっかりなんだなぁって」
そう言うと、綾人は少しだけ照れくさそうに視線を逸らした。
「……俺も思った」
そして、遠くを見つめるように、ぽつりと綾人が言う。
「こういう普通のことがしたかった」
「普通?」
「肩書きとか関係なく、お前とスーパー行って、飯作って、家でのんびり過ごす」
「そんな当たり前が、俺にはずっと遠かった」
「……じゃあ、これもデートに入る?」
「そう」
「あたしも、そう思った」
また二人で笑う。
どこまでも幸せな帰り道だ。
(こういう時間が、一番幸せなのかもしれない)
「たしかに……」
見ると、中身が寂しい冷蔵庫。
綾人がエコバッグと財布を用意した。
「え?……ウソでしょ」
「何が?」
「エコバッグ持ってんの?!」
「常識だろ」
「いや……そうなんだけど……」
そういえば、今まで食材だけを買いに、一緒に行ったことがなかった。
エコバッグを持つ綾人を想像してみる。
………………悪くない。
「……っ!これだからっ、イケメンはっ!」
「は?」
「何でも様になるんだものっ!」
「意味わからん。行くぞ」
綾人に手を引かれ、近所のスーパーに行った。
カゴには卵、牛乳、豚肉、野菜。
「あ、それ特売」
「主婦か」
「営業部です」
「変わんねぇ」
二人で笑う。
エコバッグを持とうとすると、「いい」と綾人が全部持ってしまう。
「私も持てるよ?」
「彼氏の仕事取んな」
「ふふっ」
「笑うな」
「だって、付き合ったばっかりなんだなぁって」
そう言うと、綾人は少しだけ照れくさそうに視線を逸らした。
「……俺も思った」
そして、遠くを見つめるように、ぽつりと綾人が言う。
「こういう普通のことがしたかった」
「普通?」
「肩書きとか関係なく、お前とスーパー行って、飯作って、家でのんびり過ごす」
「そんな当たり前が、俺にはずっと遠かった」
「……じゃあ、これもデートに入る?」
「そう」
「あたしも、そう思った」
また二人で笑う。
どこまでも幸せな帰り道だ。
(こういう時間が、一番幸せなのかもしれない)