WATCH.

 また何かを考えている。この前からずっとそんな表情。

「佐野が腕時計見てる姿、好きなんだ」

 勢いで言ってしまうと、佐野がこちらを見た。

「何だそれ」
「最初に話したとき、なんかいいなあと思って」
「だから、いつも時間聞かれてたんだ俺」
「うん」

 返事をすると、なんだか泣きたくなってきた。
 ここから逃げたい気持ちと、向き合わないといけない気持ちの両方が居座る。

 秒針が進む。もう戻れないんだ。知ってた。
 好きになる前には。

 佐野の好きな人だったら、そんな困った顔はさせないんだろう。

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