春は眩しくて、届かない
バレンタイン。
その言葉だけで、 胸が変にそわそわする。
でも。
“好き”って、 まだちゃんと口にできない。
もし渡したら、 今の関係が変わる気がするし、好きな形がわからないから。
それが怖いのか、 嬉しいのかも分からなかった。
陽奈はそんなりのんを見て、 少しだけ笑う。
「りのんってさぁ」
「……なに」
「柏木くんのことになると、途端に慎重になるよね」
風がふわっと吹く。
わたしはマフラーを引っ張った。
「だって大事なんだもん」
その言葉が思ったより自然に出て、 自分で少し驚く。
陽奈も一瞬だけ目を丸くして、 それからふわっと笑った。
「……そっか」
朝日が制服を白く照らす。