離縁したはずですが、元夫が再会後に溺愛してきます
3、通じ合った気持ちと、すれ違う思い
今思えば、私の気持ちは再会したときからずっと決まっていたみたいだ。
いつまでも踏ん切りがつかずにいたのは、柊に受け入れられなかったことを想像すると怖かったから。
母親なのだからと言いつくろって、逃げていたのかもしれない。樹さんだって、私に気持ちを伝えるのは怖かったはずなのに。
翌朝には雨はすっかりあがり、台風がさったかのように快晴となった。路面はまだ濡れているが空は真っ青だ。
昨夜はソファで、これまで離れていた時間を埋めるように、何度も互いの熱を確かめ合った。
気づけば日付も変わっていて、慌ててシャワーを浴びなおすとふたりでそっと柊の眠るベッドへと戻った。
セミダブルで三人は狭いし、樹さんも疲れが取れないのではと思ったけれど、樹さんは一緒に眠りたいと言ってくれたし私も僅かな時間も離れたくなかった。
柊を両側から抱きしめて眠った。満たされた気持ちは夢まで浸食してきたようで、内容は覚えていないがずっと笑っている夢を見た。
ゆっくり起きてブランチを――とはいかず、いつも通り早起きの柊に、私たちは元気いっぱいに起こされた。
朝食を終え、ゆったりとした時間を過ごすと、昼前に樹さんは帰ることになった。
樹さんが帰り支度を始め、昨日のように泣き出してしまわないか心配をしていたら、おませさんな柊はなんと交渉を始めた。
「オレもうなかないし! きょうはかえらせてあげるから、つぎはいっくんとこあそびにいかせて!」
堂々たる物言いに、樹さんは破顔しながら約束をした。
再来週、三連休がある。樹さんも仕事を調整してくれるようで、そこで彼の東京の家——私たちが、以前暮らしていたマンションへ遊びに行かせてもらうことになった。
「じゃあ、次は東京で会おう」
「やくそくだぞ! ヒーローショーもつれてってね!」
「ああ、美味しいものもたくさん食べような」
指切りげんまんをし、樹さんの車を見送ると柊は寂しそうにため息をつく。
「もっといっしょがよかった……」
これまで、こんな風に誰かを恋しがることなんてなかった。
「樹さんのこと、大好きなんだね」
「うん。なんかあったかいし、だっこしてもらうのすき。あとね、ママもいっぱいわらうから」
指摘されて、思わず自分の頬を触る。
「ママ、いつも笑ってない?」
「んー? わらってるよ。でもいっくんいっしょのほうが、いっぱいかわいい」
「え? か、可愛い?」
そんなに樹さんへの気持ちがあからさまに顔にでているのだろうか。三歳児に指摘されるとは思っていなくて、じわりと頬を熱くした。
柊は平均的な三歳児と比べて、周りをよく見ているし賢いと感じることがある。会話も三歳と思えないほど上手で、驚かされることが少なくはない。
母親としてしっかりしているつもりなのだが、どうも柊は私を〝守らなければならない人〟と認識しているらしく、『ママはオレが守る』という男気を見せてくれる。
アニメの影響もあるとはいえ、将来頼もしい限りだ。