離縁したはずですが、元夫が再会後に溺愛してきます
私も梅のおにぎりをとって味わった。

「ああ、うまいな。こうやって家族で弁当を食べられるなんて……幸せだ」

感慨深そうに目を細める樹さんに、出会いから付き合うまで、幸せな結婚生活とどん底の別れ、それから柊との出会い……これまでのことが走馬灯のように思い出され胸が熱くなる。

「これから、もっと幸せになろうね……」

少し照れながら伝えると、樹さんは私をまっすぐ見つめて笑みを深めた。

食事を終えると、午後の部が始まるまで少し休憩時間だ。

樹さんに仕事の電話が入りその場を離れると、隙を狙っていたのか普段仲良くしてくれているママ友さんたちがわらわらと寄ってきた。

「柊君ママ! 柊君のパパって〝イケメン社長〟だったの⁉」

「始まる前、噂の秘書さん来てたよね?」

興味津々の瞳と矢継ぎ早の質問に、ついに来たかと思いつつ軽く笑って受けた。

陰でこそこそ噂されるよりよっぽどいい。悪く言う人達はいないし、自分のことを話すのが少々照れくさいくらいだ。

「実は元夫なの。やりなおすことになって、今日は来てもらったんだ」

そう言うと、「あ~」だか「はぁ~」という悩ましい相槌が一斉にあがった。

「あの、ホテルの事件が原因で世間の目から守るために離婚したんでしょ? ずーっとお互いに思いあってて、再会して復縁だなんてもぉほんとドラマみたい」

多くを語らなくとも事情は筒抜けのようだ。
うっとりした様子で、ネット上に流れている情報を話してくれる。

私たちふたりの出会いから今日までがネット上ではドラマチックに要約されていて、いつ付き合っていた、別れたくらいの情報だが他人から聞くのはとても不思議な感じだ。

「再婚するってことは、引越しちゃうってこと?」

「たぶん……」

話を進められていないが、たぶん東京にいくことになる。
これから住む場所も柊の転園先も探さなくてはなのでまだまだ慌ただしく落ち着かなそうだ。

「寂しくなるなぁ。でもよかったね、応援するよ。今日は柊君ママも柊君も幸せそうでなにより。イケメン社長なんか熱のこもった視線をずーっとふたりに送ってるからこっちがあてられちゃったわ」

「うんうん。ずっとひとりで頑張ってきたんだから、たくさん甘えるんだよ」

冷やかすでもなく、アイドルを見た時のようにきゃあきゃあと盛り上がるママさんたちはとっても元気だった。
こうやって、応援してくれる人が多いことに力をもらっている。

ネットでは顔も知らない人たちが、樹さんの宣言で四年越しの復縁おめでとうだなんて祝福してくれたりして、釣り合わないのではと悩んでいた自分は嘘のように消え去っていた。
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