離縁したはずですが、元夫が再会後に溺愛してきます
7、再愛を誓う
三か月後、私と柊は東京に引越すことになった。
お互いの親へ二度目の挨拶を済まし、樹さんのお母さんも私の両親も今度こそ幸せになれと背中を押してくれた。
お父さんだけは二度と泣かすなとひと言付け加えるのを忘れなかったが、樹さんは真摯に受け止め返事をしていた。
汐森旅館を退職するのは、木場さんの件もあり申し訳ない気持ちになった。
女将さんは退職を惜しみ、ホテルでの経験を持っていて頼もしかったと別れ際に声をかけてくれ、すべてが無駄なことはなかったのだと思えてうれしかった。
慣れ親しんだ保育園の転園が一番のネックであったが、柊は思ったよりけろっとしていた。
もちろんさみしい気持ちはあるが、それよりもパパができ一緒にくらすことの楽しみの方が大きかったらしい。
もともと柊は、〝オレがママを守る〟といったタイプの強い子で『オレだいじょうぶだよ』『ママへいき?』と私を気遣うしっかりものだった。
でも樹さんに再会してからは、泣くことも甘えることも増えたように感じる。
もしかしたら私は、柊のやさしさに甘えて我儘を言いにくい環境を無意識に作ってしまっていたんじゃないか……そんなふうに心配になりそれをお母さんに相談した。
いっしょに育ててくれたお母さんから言わせると、そんなことはなく、その返事で気持ちがやわらいだ。
『きっと、自分よりもっと強いナイトが現れたから安心したのよ。だから自然と甘える側にまわっただけ』
とのことだ。
そのとおりなら心配しすぎることもなさそうだが、これから環境も変わるのでしばらくは見守ることにした。
住む場所は結婚時にふたりで暮らしていたマンションになった。
当時から樹さんの仕事も変わり通勤にも影響するので、新しい住まいも探してみたのだが、あの時の私たちは子どもができる未来を描きあの家を選んでいる。
だからふたりとも、またこの家でやり直したいという気持ちが強かった。
引越は比較的楽に済んだ。
家具は結婚当初に買い揃えたものがあるので、引越業者にお願いしたのは柊と私の衣類や雑貨のみだ。
夫婦の寝室に私の荷物を、子ども部屋に柊の荷物をそれぞれ運びこんだ。