離縁したはずですが、元夫が再会後に溺愛してきます
エピローグ

「二度目も新婚旅行って言っていいかな?」

素朴な疑問をぶつけると、樹さんはどことなくもの悲しい表情になった。

「何度目でも新婚には間違いないだろう」

「たしかにそうかも」

私たちは今、モルディブへ向かう飛行機の中だ。
まもなく到着という頃、静岡とはまるで違う、空と海の境目が溶け合うような青が翼の下に広がっていた。

「ママ、うみすごい!」

初めて空の上から海を見る柊が、窓に張りついて目をきらきらと輝かせる。

モルディブへ来るのは二度目。
最初の新婚旅行も、同じ場所だった。

白い砂浜とエメラルドグリーンの海。ゆったりと流れる時間と、どこまでも続く非日常が忘れられなくて、またここに来たい――そう思った気持ちはふたり一緒だった。

けれど、今はふたりきりではなく、今度は家族三人での旅だ。
過去をなぞるためじゃなく、新しい思い出をここから重ねていくんだ。

やがて、点のようだった島影が少しずつ形を持ちはじめる。

「どことまるの? およげる? ごはんなあに?」

わくわくが止まらない様子で、柊からは質問攻めだ。

「水上ヴィラを予約してある。見えるかな」

樹さんが身を乗り出し、窓の外へと目を向けた。

「パパと、たくさん遊ぼうな」

以前来た時は、ふたりきりで静かな時間を楽しんだけれど、今回は柊が思いきり楽しめるようにと、アクティビティを予約し、いくつもの予定を詰め込んでいる。

「うん!」

弾むような返事に、思わず笑みがこぼれた。

――新婚旅行が終わったら、次は何をしよう。

待ち構えている未来に、期待が胸にふくらんだ。


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