財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
どうやら私が思っていた以上に、この会話を聞いていたらしい。

その頃。

電話の向こうでは紫苑兄様が慌て始めていた。

『ちょ、ちょっと六花怒らないで!!』

怒ってはいない。


少し呆れているだけだ。


『とにかくすぐに佐々木を迎えに行かせるから、そのまま本社においで!!』

「行きません」

『会いたくて仕方がないんだよ!!』

「迎えなんてやめてください」

『六花ぁ……』

「GWが終わるまでは西園寺には戻りません」

私はきっぱりと言った。

『六花……』

なんだか捨てられた犬みたいな声だった。

少しだけ罪悪感が湧く。

でも帰らない。

絶対に帰らない。

「とにかく、それ以上要件がないなら切ります」

『待っ――』

私は通話終了ボタンを押した。

プツッ。

迷惑だったかな、と思ってみなさんの方をみると、なぜかさっきまでとは違う表情で私を見ていた。

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