財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
ランチを終えた後、私たちはショッピングモールの中をゆっくり歩いていた。

フードコートだけでも十分に新鮮だったのに、その後も私にとっては見るもの全てが珍しく、洋服屋さんや雑貨店、本屋さんやゲームセンターなど、今まで名前だけは知っていても実際に足を踏み入れたことのない場所ばかりだったため、気付けば私は何度も立ち止まっては辺りを見回してしまっていた。

後ろでは道明寺家の執事さんとボディーガードの方々が一定の距離を保ちながらついてきており、その様子は少し大袈裟な気もしたけれど、西園寺家でも似たようなものなので今さら気にすることでもない。



そんな中だった。



エスカレーター近くの通路を歩いていた時、ふと私の視界の端に二人の兄妹が映った。



お兄さんは私たちより少し年上くらいだろうか。

黒髪で、少し鋭い目つきをしている。



その隣には小学生くらいの女の子がいた。



二人は仲良さそうに話しながら歩いている。



本来ならそれだけの光景だった。



けれど。



私の視線は自然とその兄妹の服へ向かっていた。



男の子のパーカーは色褪せていた。



何度も洗濯を繰り返したのだろう。



袖口も少し擦り切れている。



そして隣の女の子。



その子の服は明らかにサイズが合っていなかった。



袖が長い。



肩幅も大きい。



おそらく誰かのお下がりなのだろう。



靴も少し古い。



私は思わず立ち止まりそうになった。



目が離せなかった。



なぜだろう。



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