【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
【side 翼】

俺は一瞬で状況を理解した。

六花が捕まった。

朱雀がそれを人質にしている。

そして六花が俺たちの裏の顔を知った。

頭の中をいくつもの思考が駆け巡る。

だが結論だけは最初から決まっていた。

俺は拳についた血を振り払いながら叫ぶ。

「縄張りも六花も渡さねぇ!!」

周囲の黒龍メンバーたちが一斉にこちらを見る。

「お前ら!!」

俺はさらに怒鳴った。

「朱雀ぶっ飛ばしてやれ!!」

次の瞬間、黒龍の空気が変わった。

「うおおおおお!!」

「総長の女取り返せ!!」

「やっちまえ!!」

怒号が夜空に響き渡る。

俺も地面を蹴った。

目の前にいた朱雀のメンバーの顔面へ拳を叩き込み、そのまま横腹へ蹴りを入れる。

男は数メートル吹き飛んだ。

さらにもう一人。

肩を掴み、勢いそのままに地面へ叩きつける。

邪魔だ邪魔だ邪魔だ。

全員邪魔だ。

今は一秒でも早く六花のところへ行かなければならない。

俺自身も驚くほど頭に血が上っていた。

怒りだった。

六花を怖がらせたこと。

泣かせたこと。

無理やり連れて来たこと。

その全部が許せなかった。

俺は朱雀のメンバーを次々に殴り飛ばしながら強引に道を切り開いていく。

その後ろでは黒龍のメンバーたちが異様な勢いで暴れ回っていた。

人数だけ見れば不利なはずだった。

だが今の黒龍は違う。

総長の女を取り返す。

そんな単純な理由だけで、全員の士気が異常なほど高まっていた。

「どけぇぇ!!」

「邪魔だ!!」

「総長の道開けろ!!」

次々に朱雀メンバーが吹き飛んでいく。

その光景を横目に見ながら俺は走った。

すると視界の端で赤い髪が見える。

碧だ。

碧も数人を蹴散らしながらこちらへ向かっている。

反対側では蓮が相手をかかと落としで地面に打ちつけて突っ込んできていた。

幸か不幸か、六花の登場で黒龍の士気は大いに上がり、形勢逆転した。

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