財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
あの兄妹の姿がどうしても頭から離れなかった。



サイズの合っていない服。



擦り切れた袖。



少し大きすぎる靴。



私の知っている世界では見たことのない光景だった。



もちろん、テレビや新聞で貧困という言葉を見たことはある。



けれど。



それはどこか遠い世界の話だった。



少なくとも私の周囲には存在しないものだった。



だからこそ。



目の前にいるあの女の子を見ていると胸の奥がざわついた。



どうしてだろう。



どうしてあの子は新しい服を買ってもらえないのだろう。



どうしてあんなに大きな服を着ているのだろう。



私は気付けば歩き出していた。



後ろで誰かが何か言った気もする。



けれど耳に入らなかった。



私は兄妹のところまで早足で向かう。



そして財布を開いた。



西園寺家の人間として育てられた私は、小さい頃から何度も聞かされてきた。



財産とは責任である。



力を持つ者は弱い者を助けなければならない。



ノブレス・オブリージュ。



その言葉だけは父も兄たちも否定しなかった。



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