【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
【side 翼】

「俺たちは暴走族、黒龍の幹部だ。今年から俺が総長、蓮が特攻隊長、碧が副総長を務めている。ちなみに、この前ショッピングモールで六花が10万円を渡していた男も、神谷大地っていう黒龍の幹部だ。」

六花が息を呑むのがわかった。それでも黙って話を聞いてくれる。

「何から話そうか迷うけど、とりあえずは俺たちが黒龍に入った経緯を話すね。六花にも知ってて欲しいから。」

「六花もわかると思うけど、良家の子息って行動が制限されがちだろ?お金だけはたくさん与えられるけど、放課後、遊ぶ場所だけじゃなくて友達まで制限されて、週末には外国語とかテニス、ゴルフとかのレッスンをたくさん受けさせられてさ。大学生が学ぶような経済学も勉強しなくちゃいけなくて。先生たちから『道明寺家のため』『道明寺家の子息として相応しく』なんて言葉を何度も浴びせられた。
幸い、道明寺家は俺たちの父さんがあんな感じの人だし、今は海外に行っている母さんも自由人だから、できるだけ俺たちの意思は尊重してくれたし、父さんや母さんは、俺たちを跡取りとしてではなく、愛息子として愛情をいっぱい注いで育ててくれたと思う。」

「でも、中学生になって、社交界に出る機会が増えてから、俺たちはもう『道明寺の跡取り』として見られるのに耐えられなくなってきた。
残念なことに、ちょうどその頃、父さんと母さんは、海外事業拡大のためにアメリカに長期滞在していて、俺たちは、俺たちを『道明寺の跡取り』としてしか見ていない伯母に預けられた。」

碧が話を引き継ぐ。

「一番最初に精神的に限界が来たのは僕だった。中1の夏休みに夢遊病にかかったんだ。夜な夜な屋敷を徘徊していた。
一番最初に気づいてくれたのは使用人でも伯母でもなく翼だった。翼は夜な夜なゲームをしていた蓮にも声を掛けて、陰気臭い屋敷の中にいるんじゃなくて、どうせなら3人で夜の街を楽しもうぜ?と、言って、最初はバレたらどうなるかを恐れて渋っていた僕と蓮を半ば強引に屋敷の外に連れて行ってくれた。
翼は頭が良いから、その頃からどうやったら使用人や伯母にバレずに屋敷の敷地外に出れるかを知っていたんだ。
初めて俺たち3人だけで出た、夜の街は何もかもが輝いて見えた。それからは毎週のように、週に何度かは3人だけで夜の街に出るようになった。それで僕も蓮も翼も、だいぶストレスを解消できていたんだ。」

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