【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
蓮が話を引き継ぐ。

「あれは8月のお盆の夜だった。俺たちはいつもみたいにゲーセンで一万円札を両替して、3人で対戦型ゲームをしたり、各々クレーンゲームをしたり、遊びまくっていた。
いつもなら深夜1時くらいに店舗の入り口で集合して、そのあとはファストフード店に行ってしゃべりながら夜食を食べるのが習慣になってたんだけど、その日は、いくら待っても碧が来なかったんだ。電話かけてもでねぇし、心配になった俺と翼は、2人で店の中や周囲をくまなく探した。
そして、店舗の入ったビルの裏路地で、赤い特攻服着た奴らにカツアゲされてる碧を見つけたんだ。相手は5人もいて、当時の俺たちより体格も遥かに大きい高校生だった。
なんとか応戦しながらもすでに傷だらけの碧を見て、俺と翼はすぐに碧を殴ろうとしてる奴らに殴りかかった。喧嘩なんて初めてだったけど、毎日テニスやらゴルフやらのレッスンはしていたし、俺ら三人とももともと運動神経が良かったから、なんとか応戦できた。」

「でも、相手が鉄パイプを持ち出して、『おらさっさと財布だせやぁ!!』って怒鳴ったのを聞いて、流石にやばいと思った。俺が大人しく財布を出そうとしたその時、漆黒の特攻服をきた高校生3人組が、あっという間に赤い特攻服を着た5人に飛びかかって倒してくれた。」

俺が話を引き継ぐ。

「当時の俺らにとっては、黒い特攻服着た奴らも、『得体の知れない不良』だったから、俺らはお礼だけ言って足早に立ち去ろうとした。でも、その3人組は傷だらけの俺らを見て、『すぐに助けに来れなくてごめん。手当しなきゃヤバいだろ?俺らの溜まり場連れてってやるから、ちょっと一緒にバイク置き場までついてきてくれ。』って言った。普通なら、断って大人しくその場を立ち去るだろうけど、当時の俺らは、俺らの家柄を知らない人が、俺ら一人一人に善意を向けてくれたのが嬉しくて、大人しくバイクに乗せてもらって倉庫までついて行った。そこが黒龍の倉庫だったんだ。」

「俺らを助けてくれた3人組のうちの1人は、当時の黒龍の総長で、手当してもらった俺らが帰ろうとしたら『お前ら、動きも良いみたいだし、夜家にいたくないんなら、黒龍に入らねぇ?』って誘ってくれた。俺らはさっきの喧嘩で黒龍をカッコいいと思っていたし、すぐに入ることに決めた。」

六花が納得したように頷いている。

「初めて暴走した時、俺らは中1でもちろんバイクなんて乗れなかったから、当時の幹部の人たちの後ろに乗せてもらった。風邪を切って、周りの車や追いかけてくる警察車両を無視して走るのはめちゃくちゃ楽しくて、ああ、俺らが求めてた自由はこれだ!ってなった。」

蓮が話を引き継ぐ。

「黒龍のメンバーはほとんどが高校生だ。だから、中1からいた俺らは、今では1番の古参なわけ。で、前総長と幹部からの推薦で、喧嘩も強いし臨機応変な判断ができる翼が総長になって、いつでも冷静な碧が副総長になった。俺が次男なのに特攻隊長なのは、俺は血気盛んで、なにかあった時にどう行動するか読めないから、らしい。」

最後に俺にはどうしても六花に伝えておきたいことがある。

「黒龍は、確かに暴走族ではあるけど、朱雀みたいにカツアゲ、クスリ、強姦なんてものはしない。家庭環境に問題があったり、学校にうまく馴染めなかったりする奴らが集まって、お互いに心の溝を埋めあっている組織だ。だから、どうか俺たちのことを怖がらないでほしい。」



話はこれで終わり。




部屋には沈黙が残る。
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