財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
数回のコール音のあと、

『あ?』

と、不機嫌そうな声が聞こえてくる。

私はこれを玲央兄様なりの挨拶だと、最近は思うようにしている。

「玲央兄様、今日の放課後、学校のお友達とファミリーレストランに行っても良いかしら」

数秒の沈黙。

……少し不安になってきた。

「運転手の佐々木が屁理屈をこねてどうしても駄目だって言うの。だからお兄様の許可が必要なの!」

すると次の瞬間、

『ファミレス!?』

玲央兄様のシルキーボイスが一段低くなった。

『バカかお前は』

反射的に頬を膨らませる。

やっぱり始まった。

『で、その友達って誰だ?』

「バカじゃありません!今日は陽菜と行くのです」

『陽菜?』

玲央兄様が鼻で笑う気配がした。

『知らねぇ名前だな』

「同じクラスのお友達です」

『どうせ平民なんだろ?』

一瞬言葉を失った。

どうせ平民。

ついさっき佐々木も似たようなことを言っていた。

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