財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
ほら、やっぱり雅臣さんと全然違う。

雅臣さんは、私が何か失敗をしても、穏やかに笑って咎めるようなことをしなかった。もちろん暴力なんて振るうことはなくて、落ち込んでいた私を励ましてくれた。

頭が棚の角にぶつかって凄く痛かったし、頭ががんがんするけれど、3回殴られたお腹の鈍い痛みに意識が向かないから、ちょうどいいのかもしれない。

お父様が戻って来るまでに書斎を出なければ、きっとまた躾が始まってしまう。だからなんとか立ち上がって、

「失礼します。」

と礼をして静かに書斎を後にした。



扉が閉まった瞬間。



私はようやく大きく息を吐いた。



なんだか急に疲れてしまった。



道明寺家にいた時には感じなかった息苦しさが、再び胸の中へ戻ってきたような気がして、私は誰もいない廊下をゆっくりと歩きながら、無意識のうちに「優斗に会いたいな」と考えていた。

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