色褪せて、着色して。Ⅷ~スノードロップ編~
「以前、セシルさん。俺に『またお話できますか?』って言いましたよね?」
「えっ!? ああ、はい」
「すいません。俺、あの時。ビックリしちゃって…」
オーロラ姫が来る前の出来事。
あの夜のことは、遠い昔のように感じる。
「俺はセシルさんに嫌われていると思ってたから」
「はあ!?」
思わず出た大声に。慌てて、口元を手で隠した。
「すんません。今も嫌いですよね?」
「私がいつ、太陽様のことを嫌いって言いました?」
思わず、太陽様のところまでの距離を詰めてしまう。
「俺のせいで、この国に来るはめになって。見たこともない人間と結婚させられて」
「いやいやいや。太陽様のせいじゃないでしょう。やめてください。自分を責めるだなんてやめて。それを言ったら、太陽様だって…」
言いかけて、急に怖くなった。
太陽様は優しいから。
そうだ、この人は妹を助けるためだけに。
私と結婚したのだ。
いろんなことがありすぎて。
根本的なことを忘れていた。
「私の叔母が好きなのでしょう?」
言い終えて。
ごくりと唾を飲み込んだ。
「叔母を傷つけた負い目があるから、私に優しくしてくれるのでしょう?」
私の叔母はエアー夫人。
未亡人でピアニスト。
…うん、そんな人物は実在しない。
「もう、いいんです」
ぴゅう…と冷たい風が吹いた。
「いいんですって?」
「エアー先生のことはもういいんです」
そう言うと、太陽様は目をそらした。
「えっ!? ああ、はい」
「すいません。俺、あの時。ビックリしちゃって…」
オーロラ姫が来る前の出来事。
あの夜のことは、遠い昔のように感じる。
「俺はセシルさんに嫌われていると思ってたから」
「はあ!?」
思わず出た大声に。慌てて、口元を手で隠した。
「すんません。今も嫌いですよね?」
「私がいつ、太陽様のことを嫌いって言いました?」
思わず、太陽様のところまでの距離を詰めてしまう。
「俺のせいで、この国に来るはめになって。見たこともない人間と結婚させられて」
「いやいやいや。太陽様のせいじゃないでしょう。やめてください。自分を責めるだなんてやめて。それを言ったら、太陽様だって…」
言いかけて、急に怖くなった。
太陽様は優しいから。
そうだ、この人は妹を助けるためだけに。
私と結婚したのだ。
いろんなことがありすぎて。
根本的なことを忘れていた。
「私の叔母が好きなのでしょう?」
言い終えて。
ごくりと唾を飲み込んだ。
「叔母を傷つけた負い目があるから、私に優しくしてくれるのでしょう?」
私の叔母はエアー夫人。
未亡人でピアニスト。
…うん、そんな人物は実在しない。
「もう、いいんです」
ぴゅう…と冷たい風が吹いた。
「いいんですって?」
「エアー先生のことはもういいんです」
そう言うと、太陽様は目をそらした。