色褪せて、着色して。Ⅷ~スノードロップ編~
「太陽様、失礼を承知ですが言わせて頂きます」
 バニラが真剣な顔で言った。
 やっぱり、今日のバニラは様子がおかしい。
 こんなに意地悪なことを言う子じゃないのに。

「太陽様は、ご両親からご兄妹の中で一番愛情を貰えない子だったのではなかったのですか?」

 ・・・はい?

 とんでもない、ぶっ飛んだバニラの質問に。
 私は中腰で立ち上がってしまった。
 話の流れから、どうして、そんな質問になるのか?

 生気が戻りかけていた太陽様だったが。バニラの質問に顔を歪ませた。
 つまり、図星だということだ。
 太陽様は大きな目で、バニラを見つめる。
「なんで、知っているんすか?」
「…わたくし自身、9人兄弟の末っ子ですが。兄や姉や両親に愛されたことも、優しくされたことも一度たりともありませんでしたから」
 バニラは悲痛そうな表情を浮かべて言った。
 そういや、バニラって9人兄弟だったけ。

「構ってもらいたくて、幼い頃は我儘を言ったり…今思えばとんでもない行動をしていました。でも、あの人達は私を見てくれることはなかった。なんとなくですが、太陽様はわたくしと同じ雰囲気を持っていらっしゃったので。ごめんなさい、失礼なことを言いました」
 バニラが頭を下げると、太陽様は「頭をあげてください」と両手をぶんぶんと振った。
「バニラさんの言う通りです。俺は兄や妹と違って。一番の出来損ないだった。父や母に認めてもらいたくて…構ってもらいたいがために騎士になろうと決めた」

 完全に自分は置いてけぼりな気分だった。
 一体、バニラは何が言いたいのだろう?
「太陽様、絶対に自分を責めてはいけません。今回の出来事は誰のせいでもないのですから。いいですね。自分を責めて否定するのは自分自身も相手も不幸になるだけです」
「…ありがとうございます。バニラさん」
 何故か、会話が成立している。
 私は黙って聴いているだけ。
 なんか、前にもこんなことがあったような…

「なんか、安心したら。眠気が襲ってきました。俺、上で寝てきてもいいっすかね? 実は、あんまり寝てなくて」
「どうぞどうぞ。ゆっくりお休みください」
 太陽様は「ありがとうございます」と言って立ち上がった。
 表情は、とても穏やかだった。
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