あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】
秋になると、文化祭の準備が始まった。
私たち音楽研究部は、教室でライブを行う。
くじ引きの結果、私は教室の内装係になった。
「内装のわからないことは先輩に聞きなね!確か内装担当は、えーっと…あいつ!赤星!」
赤星先輩と、私が、内装係。
これは単なる偶然に過ぎなかった。
だけど私には、運命に思えてしまった。
赤星先輩と一緒。
こんなに嬉しいことは、ない。
私のやる気は、一気に上がった。
「茅野さん、ふたりで内装頑張ろうな。」
握手を求める赤星先輩。
文化祭の準備をしているときは、この手は私だけのもの。
「よろしくお願いします。」
握った先輩の手は、やっぱり堅くて。
だけど、とても温かかった。
文化祭は3日後。
私と赤星先輩は、毎日のように顔を合わせて内装の計画を立てた。
私の呼び方が、茅野さんからさくらちゃんに変わり、赤星先輩との距離がだんだん近くなった。
私は文化祭準備の日々が本当に楽しくて、そして赤星先輩も楽しそうなのが私を少し期待させた。