あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】
「最後の演奏、どうか楽しんで下さい!」
状況が飲み込めない私を置き去りにして、始まるライブ。
夕日と照明が重なり、ステージはあかね色の光に包まれていた。
きっと先輩の瞳も、綺麗に光っているね?
だけど涙が邪魔をして、今日は先輩のミラーボール、全然見えないよ…。
見えないんだよ。
赤星先輩。
夜空の星
温かい手
愛しい気持ち
高校1年の文化祭。
赤星先輩は、私の心にたくさんの光を残していった。
それからは、寒い寒い冬が、私を待っていた。
受験勉強の忙しい赤星先輩が部活に顔を出すことはなく、ただ過ぎていく日々。
クリスマスが来ても
初雪が降っても
そして年が明けても
赤星先輩と会うことはなかった。
なんとなく、私から連絡をとる気にもなれず、先輩からの連絡もない。
私はひたすら、毎日を明るく過ごし、先輩との思い出を忘れようとした。
そして、暖い春が訪れるのを、黙って待ち続けた。