あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】



だんだんと日の光が暖かくなってきた、春。


3学期は試験に終われているうちに過ぎていき、音楽研究部の3年生引退式が行われた。


東京の大学に合格したという赤星先輩は、引っ越しの準備で忙しく欠席。


この頃には、私の傷もだいぶ癒え、笑って3年生を送り出すことが出来た。



式の終わりに部長が私を呼び出した。


「さくらちゃん、急に呼び止めてごめんね。どうしても伝えたいことがあって…。」


部長から伝えられたこと。


それは、明日赤星先輩が、卒業式を待たずに引っ越して行くということ。



もう大丈夫だと思っていたけれど、ズキンと胸が痛んだ。


「さくらちゃん、明日の8時、空港行きの電車のホームへ行ってやってくれ…。あいつ、ずっとさくらちゃんのこと…。」


「部長、ありがとうございます。私行きます。伝えなきゃいけないことがあるんです。」




ずっとずっと言えなかった好きという言葉。


離れていく赤星先輩に、必ず届けよう。


先輩が私に教えてくれた、愛しいという気持ち。


明日、必ず。

伝えなきゃ…。



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