金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

chapter2ーー

工房のトラックで運びこまれたピアノは、詩月と先輩調律師と工房長が隅々まで点検した。

「ん……何年、放置していたんだかな〜。結構な修理費だぜ、こいつは」

「ハンマーの摩耗、弦とピンの錆、鍵盤ね傷みもかなり……電子ピアノなら2台以上は買えるかもですね」

「見積もり額を伝えたら、修理はしないと言われないか」

3人でピアノを観察しながら、あれこれと検討し結局、社長にお伺いを立てた。

「取り繕っても仕方ない。正直に見積もり額を伝えろ」

先輩調律師は社長に言われて、依頼主に渋々連絡を入れた。

意外なことに、依頼主は見積もり額を聞いてもさほど驚かなかった。

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