金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

ユリウスの妻マルグリットはサロン経営をしている。

自宅でヴァイオリンを教えているユリウスと違い、多忙な日々を送っている。

サロンを取り仕切るだけでない。

サロンの常連客やサロンで演奏する演奏家の卵たちのスケジュール調整など、頭を悩ませることも多い。

詩月もサロンで演奏している1人だが、詩月が修士課程に進学し、工房や調律師の学校に通い始めてからは、詩月の演奏回数が減っている。

学士課程に在籍していた時は週に3回は演奏していたが、今は週末の1回切りだ。

詩月の演奏目当てで、サロン通いをしていた客も多い。

詩月の代わりになる演奏者がなかなか見つからない。

ユリウスは家に戻ると、朝食のしたくを手伝いながら、小百合の話をした。

「感じの良い学生に会ってね。詩月の知り合いらしいんだ。幼い頃に師匠が同じだったそうだ。『小百合』と云う明るくて、ハキハキした娘さんだった」


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