金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
続けて賛美歌488番、遥かに仰ぎ見る、輝きのみ国に、父のそなえましし……歌詞1番~3番を通しで演奏した。

澄んだピアノの音色に礼拝者の歌声が幾重にもなった。

司祭はやはり、詩月に演奏を依頼して良かったと胸を撫で下ろした。

詩月は祈祷、聖書朗読(旧約聖書:ダニエル書 )、司祭の説法に合わせ、しめやかにピアノを奏でる。

司祭の邪魔をしない。

静かで優しく穏やかな音色が、礼拝者の耳に心地よい。

小百合は「さすがね」と詩月のピアノ演奏に聞き惚れていた。

演奏する詩月をじっと観ていると、詩月の背中に白い羽根があるのではないかとさえ思えた。

薄い茶色に銀髪が混じる髪色、整った横顔、色白で頬に微かに差した淡い紅色、細身の長い手足。

マスクを着用しているが、マスク下の口元まで想像できた。

詩月の容姿はどれをとっても小百合好みだ。

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