金木犀の奏鳴曲(ソナタ)
「あたしからは話せないけど、詩月から話が聞けるかどうかはわからない」

ビアンカはそう言ったまま、黙りこんだ。

詩月くんはそんな様子には全く気づかずに、寝息を立てていた。

ビアンカの運転で詩月が下宿しているユリウス宅に着き、ビアンカが詩月の肩をポンポンと叩いて、詩月はようやく起きた。

「詩月、着いたよ」

詩月は眠気眼(ねむけまなこ)で、幼い子どものようだった。

ビアンカに支えられ、ヴァイオリンを握らされ、ユリウス宅の玄関ドアホンまで、ビアンカが話した。

ビアンカは玄関に出てきたユリウスに、詩月を託して、足早に車に戻った。

「小百合、待たせたね」

ビアンカは言うと、小百合のナビで小百合を伯父宅まで送り届けた。



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