君の隣で、私になれた
第26話「証明して」
ーーー大学3年の冬。
個室の居酒屋。
久々に4人で飲みに来ている。
乾杯。
それぞれの就職先を発表する流れに。
紅羽。
「じゃあ発表します!」
「集英社編集部です!!」
意気揚々と大きな声で発表する。
「おおーー!」
「すごい!」
紅羽は大喜び。
新。
「積水ハウス」
「建築設計」
淡々と簡潔に発表する。
「大手ハウスメーカー!」
「新すぎる」
新が少し笑う。
莉桜。
「ANA」
「国際線CA」
控えめに笑って発表する。
「さすがだな」
「しかも大手じゃん」
「きたーー!」
紅羽が莉桜に抱きつく。
琉生。
「メルセデス・ベンツ営業」
飄々と笑いながら発表する。
「絶対似合う」
「宣言通りか」
「高級車買う時はよろしく!」
「割引なしな」
「ひど!」
みんなで笑う。
そしてあっという間に時間は過ぎる。
気付けばもう帰る時間。
4人で店を「あ、まって、私トイレ行ってくる!」
「俺も」
紅羽と新が店内へ戻る。
店の前。
予期せぬ琉生とふたり。
私は焦って思わず周りを見渡す。
湊の車はまだ見えない。
よかった。
少しだけ安心する。
階段を下る。
なかなか慣れないヒール。
「あっ」
私は足を滑らせる。
転ぶ…
そう思ったのに転んでない。
目の前には琉生。
その琉生の服を掴んでもたれる私。
そして私の腰を支える琉生の手。
「危なっ」
私は慌てて離れる。
「ごめん!ヒール慣れなくて…」
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
「就活終わったしもう履かなくて済むな」
そう言って琉生は笑う。
「ほんと一安心」
私も笑う。