君の隣で、私になれた
ーー湊side.
噂はまだ消えない。
大学でも。
SNSでも。
「神崎」
「成瀬」
そんな言葉が耳に入る。
くだらない。
全部、嘘だ。
でも。
嘘だからこそ。
止めなければ。
通話履歴。
位置情報。
三田キャンパス。
確認する。
異常はない。
画面を閉じる。
スマホを見つめる。
保護ガラスにはあの日入ったヒビ。
そのヒビを指でなぞる。
もう二度と。
同じことは起こさせない。
静かにスマホを握る。
ヒビの入ったガラスが小さく軋んだ。
ーー湊side end.
ーー…
距離を置けばすべて元に戻る。
そう思っていた。
誰もまだ。
この距離が。
もっと大きなものを変えてしまうなんて。
知らなかった。