君の隣で、私になれた

第33話「すごく素敵」



ーーー結婚式場。

ーー琉生side.


秋晴れ。


バイト先の先輩の結婚式。

4人で初めての参列。



「みんな久しぶりー!!」

紅羽が大きく手を振る。


「今日は一段と派手だな、紅羽」

「うるさい!」

「結婚式なんだからこれくらい普通!」


「いや。紅羽が着ると派手!」

「褒めてる?」

「半分。」

「半分ってなに!」


紅羽はボルドーの膝丈ドレス。

ゴールドのアクセサリー。

巻き髪のハーフアップ。


いつも派手だけど今日はもっと派手。

でも華やかで似合ってる。



紅羽がこっちを見てニヤッと笑う。

「てか琉生はブラック似合うね〜」

「かっこいいじゃん!」

「ありがと。」


「マジで見た目だけは100点!」

紅羽が笑う。

「一言余計だな」

「中身は50点」

「おい、下がりすぎだろ」


「50は高すぎる」

「おい新!お前ら今日とくに辛辣!」

また笑いが起きる。


そんな新はグレーのスーツ。

白シャツに深いグリーンのネクタイ。

派手さはないのに、不思議と目を引く。



そして。


「ごめん!待った!?」

「いや、みんな今来た」

唯一そっち側を向いていた新が答える。


紅羽も振り返る。

「えっ!莉桜めっちゃ可愛い!!」

「そのドレスすごい似合ってる!」


「ありがとう…」

少し照れたように笑う莉桜。


その横で俺も口を開く。

「可愛──」

言葉が止まる。

一瞬だけ。


「……いいじゃん!」

「似合ってる!」

「ほんと?」

「うん。色も莉桜っぽくて合ってる」

俺は少し笑う。

「ありがとう!」

莉桜も嬉しそうに笑う。


莉桜はライトパープルのミモレ丈ドレス。

シルバーのアクセサリー。

ゆるくまとめたシニヨン。


透明感があって色白な肌と合ってる。

上品で可愛さもあって莉桜っぽい。



「琉生もブラックのスーツ似合うね」

「かっこいい」

莉桜が笑って言う。


一瞬だけ心臓が鳴る。

「……ありがと。」


俺は細身のブラックスーツ。

白シャツにシルバーのネクタイ。

明るい茶髪もしっかりセットした。



やり取りを見てた紅羽がすぐ笑う。

「あれ?」

「私の『かっこいい』には普通だったのに」

「莉桜に言われたら照れてない?」

「気のせいだろ」

「えー、怪しい〜」


「そろそろ式始まるぞ。」

「あ、やば!」


4人で顔を見合わせて笑う




誰も気付かなかった。


『可愛い』

いつもなら何も考えず言えていた。

その一言が。


今日は。

なぜか言えなかったことに。


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