君の隣で、私になれた


ーーー午後。

ーー琉生side.


桜が舞う。


学部ごとの卒業式を終えた学生たちで、

三田キャンパスは賑わっていた。





待ち合わせ場所の桜並木。

そこに1人の袴を着た後姿が見えた。


風が吹く。

淡いピンクの袴。

編みおろした髪が揺れる。


後ろ姿だけで。

「あ。」

すぐにわかった。


ゆっくり振り向く。


「……!」

目が合う。

俺を見てぱっと笑う莉桜。


「琉生!」


名前を呼ばれる。

その瞬間。


ドクン。


「……」


え。

今…なんで…


足が止まる。

桜が舞う。


振り返って笑った。

ただそれだけなのに。

目が離せなかった。



「琉生?」

近付いてくる。

「どうしたの?」

「……」

自然と言葉が漏れる。


「……綺麗。」


しまった。

言ったあとで気付く。


「え……?」

莉桜が少し目を丸くする。


でもすぐに、ふわっと笑った。

「ありがとう」

その笑顔にまた…


ドクン。


「……」

おかしい。

なんだ今の。


なんでこんなに。

落ち着かない。


「琉生??ほんとにどうしたの?」

「いや。」

慌てて笑う。

「似合ってるなって!」

「ありがとう、嬉しい」

また笑う。


……だめだ。

なんかおかしい。



「あ、そうだ!」

莉桜が思い出したように言う。

「琉生、文学部で話題になってたよ!」

「え?」

「かっこいいって!」

「みんな写真撮りたいって言ってた!」


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