君の隣で、私になれた
「いいの?琉生が勝ったのに?」
「いいよ」
優しく笑う。
「……」
少しだけ遠慮する。
でも素直に嬉しかった。
「やった、ありがとう」
食べる。
口いっぱいに広がる。
濃い抹茶の香り。
「美味しい……!」
思わず笑ってしまう。
「そんな美味しい?」
琉生も笑う。
「うん!美味しすぎる!」
私の方を見て。
琉生もつられるように笑った。
「よかった」
本当に。
それだけで満足そうだった。
ーー…
「……」
向かいで。
紅羽がそっと新を見る。
新も何も言わない。
目だけ合わせる。
『あれ?まただ…』
そんな空気だけが2人の間を流れる。
でも、私は気付かない。
ーー…
「琉生、抹茶好きじゃないの?」
私は琉生を見て聞く。
「好き」
琉生はさらっと答える。
「え、じゃあなんで?」
「……」
琉生が一瞬だけ止まる。
「なんでだろ?」
そして小さく笑う。
「気付いたら莉桜にあげてた」
「え?」
「俺も分かんね」
笑って肩をすくめる。
ーー…
その言葉に紅羽と新は。
もう一度だけ。
静かに目を合わせた。
何も言わない。
でも2人とも。
少しだけ違和感を感じていた。