君の隣で、私になれた


ーーー帰りの新幹線。

ーー莉桜side.


帰りの新幹線。


窓の外は少しずつ。

京都の景色が遠ざかっていく。


4人で向かい合わせの席。


行きとは違う。

少しだけ静かな空気。



「終わっちゃったね…」

紅羽がぽつりと呟く。

「早かったな」

新も窓の外を見る。

「一瞬だったなー…」

琉生が笑う。


「帰りたくなーい!」

紅羽が窓枠へ突っ伏す。

「もう帰ってる」

新が冷静に返す。

「そういうことじゃない!」

「現実見ろ」

「やだ!」

また笑い声が広がる。


私はそのやり取りを見ながら。

少しだけ笑った。


こないだまで。

大学で会って、バイトで会って。

ふらっとみんなでご飯に行って。

それが当たり前だった。


でも、もう。

“大学生”として集まることはない。



「次に会う時は…」

紅羽が顔を上げる。

「社会人かぁ……」

「実感ないね……」

私も頷く。

「嫌でもすぐ実感する」

新が言う。

「夢ないなー」

琉生が笑う。

「現実だから」

「新ほんと容赦ない」

「事実」

「はいはい」

またみんなで笑う。


この4人で笑う時間が。

私はやっぱり好きだった。


「でも。」

紅羽が笑う。

「絶対また旅行行こうね!」

「今度は海外!」

「金貯めろ」

相変わらず冷静な新。

「現実!」

「また新!」

「でも。」

琉生が笑う。

「いいじゃん、海外旅行!」

「社会人一発目の目標ってことで」

「賛成!」

思わず声が重なる。


「決まり!」

紅羽が嬉しそうに笑った。


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