君の隣で、私になれた
ーーー東京駅。
新幹線を降りる。
改札を抜けるといつもの景色。
でも少しだけ。
見え方が違った。
「じゃ。」
新が荷物を持つ。
「また。」
「またね!」
紅羽が大きく手を振る。
「またなー」
琉生も笑って手を振る。
「またね」
私も笑った。
駅の真ん中で。
4人立ち止まる。
ほんの少しだけ。
沈黙。
「……。」
誰も“さよなら”とは言わない。
言ってしまったら。
本当に終わってしまう気がした。
「またね。」
その一言だけ残して。
4人はそれぞれ違う方向へ歩き出す。
背中が少しずつ遠くなる。
ふと振り返る。
琉生も。
紅羽も。
新も。
同じタイミングで振り返っていた。
目が合う。
そして思わず笑う。
「じゃあねー!」
紅羽がまた大きく手を振る。
みんな笑って。
もう一度だけ手を振り返す。
私は前を向いた。
卒業旅行が終わる。
そして。
私たちの学生時代も。
今日で終わる。
だけど4人で過ごした時間は。
きっとこれから先も。
変わらない。
そう信じながら。
私は。
新しい春へ向かって歩き出した。
― 大学生編 完 ―