君の隣で、私になれた
「なんで!?」
「なんとなくー」
「お前、自分のは秒で教えるじゃん!」
「俺のと莉桜のは別!」
「理不尽だろ!」
「理不尽じゃない」
ブーイングが飛ぶ。
迷いはなかった。
俺の連絡先なんて別にどうでもいい。
でも、
友達の連絡先は勝手に教えない。
ただ、それだけ。
「ていうかさ、なんで成瀬さんと仲良いの?」
1人が首を傾げる。
「たしかに」
「接点なくね?」
「彼氏いるし合コンとか来ないだろうし」
「まさかお前…」
1人がニヤニヤしながら言う。
嫌な予感。
「興味ないフリして実は狙ってたり?」
「ない」
即答。
「はやっ」
「食い気味だったぞ」
「まじでない」
「じゃあなんで?」
「バイトが偶然一緒だったから」
一瞬。
沈黙。
「は?バイト?」
「あれ、琉生ってバイトどこだっけ?」
バイト先の店名を伝える。
「駅近くのめっちゃお洒落なとこじゃん!」
「そこに成瀬さんもバイトしてんの!?」
「そうそう」
「行くわ」
「来んな」
即座に断る。
「なんで!?」
「迷惑だから?」
「まだ何してない!」
「する気満々じゃねぇか!」
「当たり前だろ!!」
全員が頷く。
「正直でよろしい」
「てか琉生、紹介しろよ!」
「無理!ってか彼氏いるから」
「ケチ!」
「諦めろ!」
「くそぉ…」
本気で悔しそうな顔をしている。
その後も。
男たちの嘆きはしばらく続いた。
大学は結構楽しい。
友達がいて、遊びがあって、バイトがあって。
毎日が充実している。
適当に自由に。
ずっとこうやって過ぎていくものだと思ってた。