君の隣で、私になれた
「まぁ。」
新も頷く。
「無理に飲ませるもんじゃない」
「えー。」
紅羽が頬を膨らませる。
「分かったよー」
話題は自然と変わっていった。
胸の奥が少しだけ軽くなる。
ーー…
時間はあっという間だった。
「じゃあ二軒目!」
紅羽が立ち上がる。
「行こ行こ!」
「ごめん!私は先に帰るね」
そう言うと。
「えーー!また!?」
紅羽が腕を掴む。
「今日も帰るの?」
「明日休みじゃん!」
「たまには最後までいようよ!」
「莉桜もいないとつまんない」
笑いながらそう言う紅羽。
私はその手を振りほどけない。
本当は私だって行きたい。
みんなともっと話したい。
胸が苦しくなる。
でも…約束だから。
「ごめ……」
謝ろうとした。
その時。
琉生が私の言葉を遮る。
「解散!」
一瞬みんなが止まる。
「……え?」
紅羽は意味が分からないって表情。
「今日は解散!また来月」
「はぁ!?なんで!」
「まだ全然飲めるじゃん!」
紅羽が琉生に詰め寄る。
「今日は眠いから帰る」
「なにそれ!琉生ノリ悪っ!!」
「黙れ酔っ払い!」
「また来月飲めばいいだろ」
不機嫌な紅羽を琉生は笑顔で流す。
「そうだな、帰るか」
そして新が頷く。
「新まで!?」
「もーー!」
「ほんと最悪!琉生のせい!!」
琉生は笑うだけ。
そのまま4人で店を出る。
私は歩きながら。
そっと琉生を見る。
目が合う。
何も言わない。
でも。
“大丈夫。”
そう言われた気がした。
私は小さく笑って。
「……ありがとう」
心の中でだけそう呟いた。
やっぱり琉生は。
理由も約束も分かってる。