君の隣で、私になれた
紅羽との帰り道。
「今日、断らなかったね」
「え?」
「2人で会おうって誘い!」
「前は即お断りだったじゃん!」
「そうだった?」
「そうだよ!」
紅羽は嬉しそうに笑う。
「ちょっと進歩じゃない?」
少し考える。
「……まだ恋愛したいとは思わない」
「でも話すのは楽しかった」
「それだけ…」
「うん!それで十分!」
紅羽がまた笑う。
その笑顔と言葉が私は嬉しかった。
ーーーまたまた数日後。
3回目の合コン。
「今日は不動産営業らしいよ!」
紅羽がスマホを見ながら言う。
「また営業なんだ!」
「営業って合コン好きそうじゃん?」
「偏見」
思わず笑う。
「今日は当たりだといいな〜。」
「そうだね」
ーー居酒屋。
四対四。
乾杯。
「俺、拓海!よろしく!」
一番最初からテンションが高い。
「莉桜ちゃん!」
「CAなんだ!」
「すげー!」
話しかけられる。
悪い人ではない。
明るい。
場を盛り上げるのも上手。
でも、距離が近い。
「ねね、もっとこっちおいでよ」
椅子を近付けられる。
少しだけ笑ってやんわり距離を戻す。
しばらくして。
「写真撮ろ!」
みんなで席を立って集まる。
「莉桜ちゃん!」
拓海くんが笑う。
「真ん中きて!」
自然に肩へ腕を回された。
「……。」
一瞬だけ体が固まる。
笑顔は崩さない。
でも少しだけ力が入る。
「ほらほら!」
「笑って!」
その時。
「ちょっと!」
紅羽が笑いながら間に入る。
「そこ私の場所ー!」
拓海の腕を軽く押して。
紅羽が私の隣へ入る。
「女子こっち!男子あっち!」
「えー!」
拓海くんが笑う。
「紅羽ちゃん厳しい!」
「当たり前!私の莉桜だから!」
その一言に。
思わず笑ってしまう。
紅羽が助けたくれて。
その後と何事もなかったように。
写真は終わった。