君の隣で、私になれた

第58話「この恋を掴みに」



ーーー社会人2年目の冬。

ーー莉桜side.


休日。

待ち合わせは表参道。


スマホを見る。

昨日届いたLINE。


ーー悠真。

『この前おすすめしたカフェ、』

『期間限定始まったらしい!』

『もし予定空いてたら行かない?』


少しだけ。

画面を見つめた。


前なら。

きっと断っていた。


でも。

昼のカフェ。

話すだけ。

それくらいなら。


『ぜひ!』

そう返していた。


ーー…


「おはよう」

「おはようございます」

「また敬語だ」


悠真さんは。

今日も穏やかに笑った。

その笑顔を見ると。

自然と肩の力が抜ける。


「寒かった?」

「大丈夫!」

「よかった」


店まで歩く。

沈黙があっても。

不思議と気まずくない。


無理に話題を探さなくても。

自然に会話が続く。


「仕事どう?」

「最近はね、」

「国際線の資格目指して勉強してる」

「いいね、向上心ある」

照れくさくなる。


「兄の影響かな?」

「そういえばお兄さんいるんだったね」

「うん、2人いる」

「何の仕事してるの?」

「上の兄は実は総合商社なの」


「え?」

思わず悠真さんが笑う。

「どこ?」

会社名を答える。

すると驚いた顔をする。


「……え、うちじゃん」

「え!?」

今度は私が驚く。

「ほんと?」

「ほんと。」

「部署は全然違うけど、」

「もしかしたら会っもしかしたらも」


「えー!すごい偶然!」

思わず笑ってしまう。

「だね。」


そこからも話は弾んだ。


悠真さんは。

否定もしない。

大げさに褒めもしない。


ただ。

「へぇ」

「そうなんだ」

そうやって、話を聞いてくれる。

それが心地よかった。



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