君の隣で、私になれた


ーーー新の家。


「おじゃまします」

少しだけ緊張しながら。

新の家へ入る。

「おじゃましまーす」

その横では。

琉生が慣れた様子で靴を脱いでいた。


「久しぶり」

上下スウェット姿の新が出迎える。


部屋へ入った瞬間。

「わぁ……。」

思わず声が漏れた。

広いリビング。

木目を基調にした落ち着いた内装。

シンプルなのにどこを見てもお洒落。


「さすが住宅メーカー勤務……」

笑うと。

「職業病」

新も笑った。


リビングテーブルには。

切った野菜。

大皿いっぱいのお肉。

缶ビール。

ハイボール。


3人でテーブルを囲んで座る。

「莉桜飲める?」

琉生が缶を見ながら聞く。

「他なんか買ってこよっか。」

「大丈夫!飲んでみる!」


3人で缶を開ける。

「乾杯」

「かんぱーい!」


恐る恐る。

缶ビールを一口。

「あ、全然飲める!」

思わず笑う。

「だろ?」

「苦いけど美味しい!」


それから。

肉を焼いて、食べて、飲んで。

大学の頃の話で笑って。

仕事の話で盛り上がって。


気付けば。

缶が一本、また一本。

少しずつ空いていく。


頬が熱い。

身体も少しぽかぽかする。


「そういえば。」

新がお肉をひっくり返しながら言った。

「莉桜。」

「前行ってた合コンのやつ、」

「どうなった?」


……あ。

思わず顔を上げる。

「何回か誘われたんだけど……」

「予定合わなかったりとかで」

「結局会ってない」

「ふーん。」

新はそれだけ。

また肉を焼き始める。

会話はそこで終わった。


でも隣から。

ほんの少しだけ。

空気が柔らかくなった気がした。


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