君の隣で、私になれた


缶ビールを口に運ぶ。

少しずつ。

頭がふわふわしてきた。


「あれ?」

ふと思い出す。

「琉生、お酒飲んでるけど」

「どうやって帰るの?」


「ん?」

「あー、新んち泊まる」

当たり前みたいに答える。

「いつもそう」

新も頷く。

「莉桜もそのまま泊まってけば?」

「え?」

思わず固まる。


泊まる。

私も?

頭の中でゆっくり考える。


男二人。

でも新と琉生。


「……。」

「じゃあ…そうしようかな」

「決まり」

新が笑う。

「それならまだ飲めるな」

そう言って。

棚から一本取り出した。


ウイスキー。

しかもロックで飲むらしい。


「あー、でも莉桜はやめとく?」

「度数高いし」

グラスへ氷を入れながら新が聞く。


その瞬間。

「莉桜はなし」

隣から琉生が即答した。

「お前はもうやめとけ」

「えー、私も飲む!」

「は?これ結構強いからやめとけ」

「やだ、飲む!」

「おい!」


そのやり取りを見て。

新が吹き出した。

「お前ら、兄妹喧嘩か」

少し笑って。

「まぁ明日休みだし、家だし、」

「自己責任な」

そう言って。

私のグラスにも少しだけ注いだ。


「新ありがとー!」

嬉しくて受け取る。

「おい、新!」

琉生がため息をつく。


グラスを持ち上げた瞬間。

琉生がそっと止めた。

「一口だけな?約束。」

「はーい」

素直に頷く。


そして。

一口飲むとアルコールが広がる。

「……。」

もう一口。

「おい!約束!」

「あ。」

思わず笑ってしまう。


それを見て笑う新の笑い声が。

部屋中に響いた。


その頃には。

頭の中は。

もうすっかりふわふわだった。



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