君の隣で、私になれた
視線を神崎琉生に戻す。
ちょうど女子グループに囲まれていた。
「琉生くん今日もかっこいいー!」
「ありがとう」
神崎が笑う。
「一緒に飲もうよー」
「バイト中だからごめんね」
そう言って、女の子の頭をぽんと撫でる。
「きゃーー!!」
女子たちが騒ぐ。
その様子を見て俺は眉をひそめる。
数分後。
別の女子グループ。
「琉生くんLINE教えてよ!」
「えー秘密」
「なんでー!」
「また会いたいのにー!」
その女子が神崎の腕を掴む。
でも嫌がる素振りも引き離す素振りもない。、
「じゃあまた会いに来てよ」
笑いながら自然に肩へ手を回す。
女子たちがまた騒ぐ。
「大人気じゃん、そしてチャラい」
「やっぱモテ方えぐいな」
友達が笑う。
「神崎って彼女いるの?」
「知らない」
「彼女いてもモテそうだよなぁ」
なんとなく分かった。
やっぱりこういう男か。
1番苦手なタイプ。
自覚がないから女を勘違いさせる。
本人は優しいだけ。
本人は友達のつもり。
でも。
そういう男ほど厄介だ。
そして。
その直後だった。
何かをメモしている莉桜を見る。
後ろから神崎が来る。
「莉桜、何書いてんの?」
「今日のおすすめ!」
「あれ、おすすめ何だったっけ?」
神崎が聞く。
「これ」
莉桜がメモを見せる。
神崎が後ろから覗き込む。
肩に腕を置く。
「見えねぇ」
顔を寄せる。
お互いの顔が近い。
「あー、これか」
「そう」
「いま知ったわ」
「ちゃんと覚えて」
「無理」
「覚えて」
「頑張る」
そして神崎は少し笑う。
近すぎる。
でも。
莉桜は避けない。
嫌そうな顔もしない。
当たり前みたいに話している。
慣れているみたいに。
俺の眉がわずかに動く。
どうして。
他の男には気を付けるのに。
こいつには気を許すんだ。
信頼しているからか。
友達だからか。
そんなことは関係ない。
男は男だろ。
そもそも男女に友情なんて存在しない。