この恋心を悟られてはいけない
「マットレス?」
ベッドは隠しやすい場所だ。すでに確認している。上はもちろん、左右にも特に変化はない。裏面も異常はなかった。
だがマットレス自体の裏側はどうか。
一人で動かすにはやや重いが、引きずる形で引っ張り出す。
「やっぱりあった」
床に寝転がり、マットレスの下を確認すると小さな縫い目があった。
探し物をするからと持ってきていたソーイングセットを使い、縫い目の端っこを切る。あとは中のものを傷つけないよう、指で器用に糸を解いていく。
「中にあるの紙っぽいな。絵にしては小さいような?」
少しずつ中のものが見えてくる。
これは袋? 中に粉が……。
袋と共にメモの切れ端も見つかった。走り書きされている言葉に見覚えはないが、袋の中身がどんなものかは予想できる。
「厄介なものを……」
エプロンのポケットに突っ込み、マットレスを縫う。上からシーツをかけ、他の部屋と同様の清掃を行う。
最後にドアノブに清掃中の札をかけてから一階に下りる。バックヤードにいた店長はヴェルデの顔を見ると帳簿をつける手を止めた。
「どうだった?」
「これが見つかりました」
ポケットの中から先ほど見つけたものを取り出す。アンセルはメモの内容を確認するまでもなく、袋の中身を理解したようだ。ふぅ……と長い溜め息を吐く。
「うちの店からこんなのが見つかる日が来るとはな……どこにあった?」
「マットレスの中です。裏側に縫い目がありました」
「よく見つけたな」
「私もまさかこんなところに隠しているとは思いませんでした。今は清掃札をかけてますけど、どうしましょう?」
「適当に部屋を荒らして使用禁止にしておくか……。ヴェルデ、手伝ってくれ」
ボリボリと頭を掻くアンセルに続き、ヴェルデも先ほどの部屋に向かう。
まだ割と新しいライトを床に落として割り、綺麗に敷き直したシーツはぐしゃぐしゃに丸めて部屋の端に投げた。周りの家具も適度に荒らし傷もつけ、客が暴れたような部屋を作り出す。
勿体ないとは思うが、騎士が到着する前に勘付かれて逃げられるよりもマシだ。
買い出しから帰ってきたビリーには酔った客が間違って入った部屋で暴れたらしいと嘘の情報を伝えた。
もっとも彼はオープンスタッフの一人で、元々娼館の下働きとして働いていたこともあり、嘘であることにはすぐ気づいた。同時に他のスタッフにも聞かれた時にはそう伝えてほしい、という意味も掬ってくれる。
ベッドは隠しやすい場所だ。すでに確認している。上はもちろん、左右にも特に変化はない。裏面も異常はなかった。
だがマットレス自体の裏側はどうか。
一人で動かすにはやや重いが、引きずる形で引っ張り出す。
「やっぱりあった」
床に寝転がり、マットレスの下を確認すると小さな縫い目があった。
探し物をするからと持ってきていたソーイングセットを使い、縫い目の端っこを切る。あとは中のものを傷つけないよう、指で器用に糸を解いていく。
「中にあるの紙っぽいな。絵にしては小さいような?」
少しずつ中のものが見えてくる。
これは袋? 中に粉が……。
袋と共にメモの切れ端も見つかった。走り書きされている言葉に見覚えはないが、袋の中身がどんなものかは予想できる。
「厄介なものを……」
エプロンのポケットに突っ込み、マットレスを縫う。上からシーツをかけ、他の部屋と同様の清掃を行う。
最後にドアノブに清掃中の札をかけてから一階に下りる。バックヤードにいた店長はヴェルデの顔を見ると帳簿をつける手を止めた。
「どうだった?」
「これが見つかりました」
ポケットの中から先ほど見つけたものを取り出す。アンセルはメモの内容を確認するまでもなく、袋の中身を理解したようだ。ふぅ……と長い溜め息を吐く。
「うちの店からこんなのが見つかる日が来るとはな……どこにあった?」
「マットレスの中です。裏側に縫い目がありました」
「よく見つけたな」
「私もまさかこんなところに隠しているとは思いませんでした。今は清掃札をかけてますけど、どうしましょう?」
「適当に部屋を荒らして使用禁止にしておくか……。ヴェルデ、手伝ってくれ」
ボリボリと頭を掻くアンセルに続き、ヴェルデも先ほどの部屋に向かう。
まだ割と新しいライトを床に落として割り、綺麗に敷き直したシーツはぐしゃぐしゃに丸めて部屋の端に投げた。周りの家具も適度に荒らし傷もつけ、客が暴れたような部屋を作り出す。
勿体ないとは思うが、騎士が到着する前に勘付かれて逃げられるよりもマシだ。
買い出しから帰ってきたビリーには酔った客が間違って入った部屋で暴れたらしいと嘘の情報を伝えた。
もっとも彼はオープンスタッフの一人で、元々娼館の下働きとして働いていたこともあり、嘘であることにはすぐ気づいた。同時に他のスタッフにも聞かれた時にはそう伝えてほしい、という意味も掬ってくれる。